皆さま、毎日楽しく脳喝していますか?
もうすぐ、新しい計算ゲームをアップロードします。どうぞお楽しみに。
一世一代、片岡仁左衛門による碇知盛
出典:歌舞伎美人ああ、なんと形容したらよいのでしょうか。片岡仁左衛門さんの一世一代、渡海屋銀平、実は平知盛の千穐楽の演技。鳥肌が立ちました。
2月25日、歌舞伎座2月公演の最終日。人間国宝片岡仁左衛門さんの知盛の見納めでした。
ハンサムな仁左衛門さんは片岡孝夫時代から大好きな役者さんでした。しかし、実際に舞台で拝見したのは、「歌舞伎座さよなら公演」(2010年)の「助六」が初めてと記憶しています。当時はまだ勘三郎も団十郎も存命で、それはそれは豪華な顔ぶれでした。
その仁左衛門さんが、今後、その役を演じることを封じるという「義経千本桜」の知盛役。文化のパトロンを自認する私、これを見ずしてどうする、というわけで千穐楽、3階3列40番のチケットをゲット。手に入れるまでの苦労は、話せば長いので省略します。
ストーリーを要約しますと、渡海屋銀平、実は平知盛が生きていて、九州へ逃避行する義経一行を討とうとしてかなわず、最後は、崖の上から碇を担いで入水する、というもの。平家物語のパロディーです。観客は、みな、これが最後の知盛役と知っているので、仁左衛門さんが登場すると場内割れんばかりの拍手。仁左衛門さんもそれに応えます。復讐の鬼と化し、まさに満身創痍、孤軍奮闘、息も絶え絶えになっても義経を討たんとします。身体には矢が突き刺さり、白衣装は血で真っ赤に染まっています。喘ぎながら、のどの渇きを潤すために突き刺さった矢を抜いて、血を舐めます。大きく開いた口からは真っ赤な舌がみえました。
知盛は復讐の鬼となっているのですが、安徳天皇から、「自分を助けてくれる義経を仇に思うな」と言われ、さらに、義経が知盛の忠義をほめ、安徳天皇を守るので安心するようにというのを聞いて、それまでの怨念を解放し、笑みを浮かべます。その笑みは、最後、碇の艫綱(ともづな)を体に括り付けて入水するときにも消えませんでした。
このように説明的に書くと、劇場で受けた鳥肌だつ衝撃が薄れていくようです。様式美とリアリズム、復讐心、怨念から解放された安堵感、安徳天皇の無事を確信して、すべてを受け入れた自然体、こぼれる笑み。ある人は、「自ら生を手放す感じから、一切を自然に任せる感じ」へと変化した、と指摘していました。確かに、平成16年4月、同じ歌舞伎座で仁左衛門さんが演じた知盛と比べると、演技自体がもっと自然体で、入水の時の心情表現も、荒々しさが抜け、平家一門の敵を討つという呪縛から解放された清々しさといったものを感じさせるものでした。仁左衛門さんの役の解釈、芝居の解釈が演じる中で変わったことをうかがわせます。
(https://www.youtube.com/watch?v=qW9nGp5kdHk 当時、まだ中村勘九郎と名乗っていた名優中村勘三郎の姿も!)
仁左衛門さんのセリフ、一挙手一投足を見逃すまい、聞き逃すまいと、かたずをのんで見守っていた観客から拍手が鳴りやみません。それは幕が下りてから5分?10分?続きます。誰も席を立たないのです。私も精いっぱいの拍手を送りました。すると、びっくりしたことに、定式幕が引かれ、舞台の真ん中に、深く頭を下げた仁左衛門さんが!みな、驚きと嬉しさに声にならないような声を上げ、さらに大きな拍手を送ります。仁左衛門さんは手を合わせ、再び頭を下げました。その後ろには、無造作に脱ぎ捨てられた楽屋履きが見え、大急ぎで舞台に取って返した様子が想像できました。
このカーテンコールには批判もあるようですが、こうした素晴らしい舞台を見せていただいた観客の自然な感謝と感激の拍手、それに対する仁左衛門さんの自然な感謝の気持ちの表れだと思います。めったにない歌舞伎座でのカーテンコール。聡ちゃんの言葉でいうと、「僥倖」?カーテンコールに値する圧巻の演技でした。眼福。
https://ameblo.jp/takataro-kataoka/entry-12728870875.html
それにしても、コロナ禍、感染者、濃厚接触者を出さずに千穐楽まで務めることができたのは、関係者の方々の努力あっての事。よかった、よかった。
聡ちゃんを待ち伏せ:将棋会館@千駄ヶ谷
なんとか藤井聡太さんに会いたい、本物を見てみたい。王将戦の大盤解説は中止だし、さてどうしようかと思っていたら、順位戦B級1組の藤井聡太竜王対阿久津主悦八段の試合が、2月3日、東京の将棋会館で行われることに気が付きました。渋谷区千駄ヶ谷の将棋会館なら高槻や大田原よりも近い。将棋会館訪問を兼ねて、本物を待ち伏せることにしました。
対局開始は10時、拙宅からはバスと徒歩で約40分。8時にはバスに乗り、ゆっくり歩いて8時半過ぎには将棋会館に到着しました。いくらなんでも早すぎるので、将棋会館の周りを偵察。棋士が参拝するという鳩森八幡神社の境内をゆっくりと散策し、町内をぐるっと一周しましたが、それでもまだ、9時前です。
将棋会館1階の売店は10時開店なので中に入ることもかなわず、さてどうしたものか。いつも、早めに対局室に入る竜王の事だから、きっと早めに来るに違いない、と信じて寒い中じっと待ちます。バックパックを背負った人、かばんを持った人がわれわれの前を通り過ぎて会館に消えていきます。その中には、屋敷九段、木村九段の姿もありました。木村九段はコンビニでお弁当を買ったと思しきビニール袋をもってました。
そうこうするうちに、時刻は9時半になろうとしています。由美子:絶対に30分前には将棋会館に来てると思うんだよね。もう9時半でしょ、見逃しちゃったのかな。連れ合い:あそこ歩いてくるの、藤井さんじゃないの?由美子:まさか。あなた、目悪いのに眼鏡もかけないで、見えるわけないじゃん。
(そういつつ、じっと目を凝らす。曲がり角からこちらに歩いてくる、黒づくめのごくフツーの男性)
えっ…(もしかして?まさか?)
(どんどん近づいてくる)
本物だよ。うっそ~。連れ合い:ほんま?
なんでわかるの?由美子:黒いバックパック、黒いパトリックのスニーカー、あの髪形。連れ合い:写真撮らないの?
藤井さーん(小さい声で叫ぶ)由美子:止めてよ! 気が散ると将棋に集中できないでしょ。
(対局前なので写真を撮りたいのもぐっと我慢して見送る)
連れ合いの叫び声が聞こえたのか聞こえなかったのか、竜王はちょっとうつむき加減にフツーに歩いてフツーに将棋会館に入っていかれました。あまりのフツーさに竜王と確信するのに時間がかかりました。9時35分ごろのこと。将棋会館には私のような聡太ファンがいっぱいかなと思ったら、まったくファンの姿はなし。そりゃそうだ。平日の朝、われわれのような暇人は少ない。近くの喫茶店で余韻に浸っていたら、将棋会館へと急ぐ渡辺名人を目撃。連れ合いとまた盛り上がりました。一服して将棋会館に引き返し、売店で聡ちゃんグッズを仕入れて帰宅しました。充実した半日。
聡ちゃん待ち伏せ②ソラノホテル@立川市
王将戦第4局は、2月11-12日、東京都内立川市のソラノホテル。家から近い。同じホテルに泊っちゃえ、とネットをググると、ちょうど三連休だったこともあって法外な値段。あきらめてランチを予約。「王将戦は何階でやってるんですか?」ってホテルの人に聞きましたが、教えてもらえず。竜王がおやつに頂いたものと同じ、和栗のモンブランをデザートに選びました。
聡ちゃんについては、ミーハーの視点からもっともっと語りたいことがあります。3月9日のB級1組順位戦最終戦のこと、和服のこと、持ち物のこと、家族のこと、伊藤匠四段のこと、などなど。3月のブログは「藤井聡太竜王A級昇級お祝い特別号」とすることをお約束して、ここで封じることにいたします。