皆さま、毎日楽しく脳喝していますか?
私は今年2度目のルワンダ出張から27日に帰国し、今日から2週間、ひっそりと自宅隔離です。南アフリカで新たな変異ウイルス発見のニュースが広まり、各国とも水際対策を強化していますが、まさにギリギリのタイミングで戻ってきました。
さて今月と来月のブログでは、縁あって知り合い、いろいろと助けてもらっている大切なルワンダの友人をご紹介します。
アントワン
何はさておいても筆頭に挙げなければいけない友人です。実はかつての教え子です。10年以上前ですが、国際協力機構(JICA)の支援を受けて、鳴門教育大学大学院修士課程に留学しました。帰国後は教育省傘下の機関で働いていました。大の日本びいきで、日本の教育制度の良いところをルワンダにも取り入れたいとJICA技術協力プロジェクトにも支援を惜しみませんでした。何度か、彼の自宅に招かれ、ヤギのBBQで歓迎してもらいました。
その彼が、なんと、今年11月の地方選挙でルリンド郡の副市長(経済開発担当)に選ばれました。ルワンダは全部で5州あり、州知事は政府による任命制ですが、州の下にある郡(全部で30郡)、セクター(420セクター)、ビレッジ(14,837村)の行政会議(議会のようなもの?)は選挙によって選ばれます。ただ、すべての住民が選挙権を持つのはビレッジの代表を選ぶときだけで、郡の行政会議メンバーは、その下部組織であるセクターの行政会議メンバーによる投票によって決まるようです。アントワン氏は選挙公約として経済開発、優れた統治、社会福祉の向上を掲げています。経済開発のためには優れた人的資本が不可欠なので、教育をよく知るアントワン氏は適任と言えるかもしれません。ちなみに、新しく選ばれた市長は女性です。ビジネス・ウーマンの奥さんや、キガリ市内の私立学校に通う息子さんとは別居だそうです。単身赴任は日本と似ているかも。
サウダ
2012年から約5年間、Tumba College of Technology(現在はIPRC Tumba)という日本でいうと高専にあたるようなところで、職業教育プロジェクトに携わっていました。その学校というのが、ルリンド郡(!)のTumbaという山の上にある学校で、私たち日本人専門家は、平日はプロジェクト用の教員宿舎に泊っていました。そのプロジェクトで雇っていたお手伝いさんがサウダです。掃除、洗濯、皿洗い、水汲みが主な仕事でした。当時は首都と地方の格差は今以上に大きく、停電、断水はしょっちゅうでした。突然の断水に備えて大きなポリバケツに水を確保しておくのはサウダの大事な仕事の1つでした。
実はサウダは最初はまったく英語が話せなかったそうですが、少しずつ、少しずつ話すようになりました。ある日、彼女が使っている小部屋を覗いてみると、どこで手に入れたのか古い、すり切れた英語の教科書がありました。家族のために、せっかく手に入れた職を全うするために、隠れたところで一生懸命努力していたのです。
2018年プロジェクトが終了し、お手伝いさんとしての収入はなくなりました。いまはどうやって生計を立てているのかはわかりません。2019年に友人3人と彼女の家に押しかけた時には、おいしいトマト味のチキンスープをごちそうしてくれました。今回の調査で、地方農村部で、肉を口にする機会は年に数回という家庭も多いことが分かりました。ルワンダでは、鶏肉は牛肉よりも高価なことを考えると、最大級のもてなしを受けたということが今になってようやく理解できました。4人の子どもたちは部屋の片隅に座って、おとなしく私たちが食べるのを見ていました。どんなに食べたかったことでしょうか。
セレスティン
同じく、Tumbaのプロジェクト時代にお世話になったドライバーさんです。安全運転で、信頼の高いドライバーでした。そのセレスティンが今回の調査では専属ドライバーになりました。おかげで、道中、片言ではありますがたびたび話すことがあり、ようやく彼のことが少しわかりました。
運転歴なんと30年。ジェノサイドの前から運転していることになります。年齢は48歳。奥さんは40歳で、南部ニャルググ郡の同じ村の出身だそうです。子どもは、11歳、8歳、2歳の3人で、なんと上の二人の子どもを私立学校に通わせているそうです。なぜ、と聞くと、公立学校の質が悪いから、とのこと。さらに、ニャマタというところに自宅を新築中。コロナで仕事がほとんどなかった時期もあり生活は厳しかったようです。子どもの教育費と家の新築、お金がかかると嘆いていました。いまは、車を借りて運転しているが、いずれは自分の車をもって独立して稼ぎたい、とも言っていました。「お父さん、家族のために元気で頑張らないといけないね」というと、大きくうなずいておりました。
シャンタル
キミロンコ・マーケットでアフリカ布を売り、売った布で洋服を仕立てるビジネス・ウーマン。私のお抱えのテイラーです。3人の子どもの肝っ玉母さんで、子どもは、職場からも近いところにあるウムチョムイーザ学園(http://www.rwanda-npo.org/activities/rwanda/)に通わせているそうです。彼女ともTumbaのプロジェクト時代からの付き合いです。プロジェクトの若い同僚に勧められて彼女の店で初めて仕立てて以来、ルワンダに行くたびに、必ず何かしら仕立ててもらっています。
キミロンコ・マーケットのキテンゲ(アフリカ布)は、以前はお隣のコンゴやウガンダ製が主流でしたが、近年、中国製の化繊が多数出回っています。2,3年前までよく見かけたアフリカっぽい大胆な柄、鮮やかな色使いのものが少なくなった印象。ということで、今回仕立てたものは、私にしてはちょっと地味なものが多い。
布地は綿100%のもの6ヤード(上下ツーピースと、同柄のヘッドスカーフ付き)で15,000RWFが相場です。仕立ては、ジャケット(裏付き)で12,000、ワンピースが8,000、スカート、パンツが5,000。地元の人だと布地も仕立てももっと安いのかもしれません。ちなみに、ルワンダの小学校の教員の給与は月額で55,000RWFくらい。仕入れ、店賃、ミシンの賃料などを差し引くと、さて、シャンタルの収入はどれくらいになるのでしょうか。